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ゲームデザイナー対談

2010.03.01

コミュニケーションの密度

          板垣さんとの対談という形で、会社を代表する3名のゲームデザイナーの方に集まっていただきました。よろしくお願いいたします。
一同 よろしくお願いします。
          まず始めにお一人ずつ自己紹介をお願いします。
江原 板垣さんの下で17年間ゲームデザイナーのチーフを務めて参りました、江原と申します。格闘ゲームやアクションゲーム、あらゆるゲームデザイナーの作業をこなしてきました。

ゲームデザインリード 江原 克則

代表作品:
・ NINJA GAIDEN 2 (Xbox 360 / 2008) アクションディレクター
・ NINJA GAIDEN Dragon Sword (DS / 2008) スーパーバイザー
・ DEAD OR ALIVE Xtreme 2 (Xbox 360 / 2006) プロデューサー&ディレクター
・ DEAD OR ALIVE 4 (Xbox 360 / 2005)ゲームデザインリード
・ DEAD OR ALIVE Ultimate (Xbox / 2004) ゲームデザインリード
・ NINJA GAIDEN (Xbox / 2004) アクションディレクター
・ DEAD OR ALIVE Xtreme (Xbox / 2003) アクションディレクター
・ DEAD OR ALIVE 3 (Xbox / 2002) ゲームデザインリード
・ DEAD OR ALIVE 2:Hardcore (PS2 / 2000) ゲームデザインリード
・ DEAD OR ALIVE 2 (PS2 / 2000) ゲームデザインリード
・ DEAD OR ALIVE (PS / 1998) ゲームデザインリード
・ DEAD OR ALIVE (Saturn / 1998) ゲームデザインリード
・ DEAD OR ALIVE (業務用 / 1996) ゲームデザインリード
(以上全て テクモ株式会社 開発・販売)

          具体的にはどのような作業をしてこられたんでしょうか?
江原 ゲーム内部の構築、仕様書作成、企画書作成や、それこそ世界観を考えたり、ストーリーも書いたり、最初は何でもやっていました。その後、人も増えてやる事もどんどん増えてくるのに連れてだんだんゲームの内部、特にメカニズムに専念するようになり、格闘ゲームもアクションゲームも好きだったので、システムや技を考えたり、内部のバトルエンジンに注力するようになってきています。
          なるほど。
江原 ここ数年は、ゲームデザイナーを統括して全体を俯瞰した状態で見ていまして。一応バトルエンジン部分に専念はするんですけど、色んなところに口出したりしています。
          分かりました。それでは次の方お願いします。
張戸 ゲームデザイナーで、レベルデザインを担当している張戸です。昔は育成ゲームとか作ってたんですけど、アクションゲームが作りたいなと思って、それ以来板垣さんと仕事をさせてもらっています。

レベルデザインリード 張戸 恒平

代表作品:
・ NINJA GAIDEN 2 (Xbox 360 / 2008) レベルデザイナー
・ DEAD OR ALIVE 4 (Xbox 360 / 2005) テストマネージャー
・ モンスターファーム4 (PS2 / 2003) ゲームデザイナー
・ モンスターファーム (PS2 / 2001) ゲームデザイナー
(以上全て テクモ株式会社 開発・販売)

          どれくらいのお付き合いになるんですか?
張戸 僕は5年くらいですかね。
          レベルデザインというのは、具体的にどのようなお仕事なのでしょうか?
張戸 いわゆるステージを作る仕事なんですけれども、ステージの設計から、そのステージで起こるゲームのイベントの組み込みなどをやっています。あとは世界観に沿ってアートの方と打ち合わせをしてデザインを決めたりします。
          では、そのアートの方と折衝をしながら進めてらっしゃるという形で・・・
張戸 はい・・・あ、だんだん汗かいてきました・・・こういう場は恥ずかしくて・・・
一同 (笑)
板垣 何が恥ずかしいんだよ(笑)

江原 ビール、ビール飲んじゃいなよ!(笑)
張戸 赤くなっちゃうけど、いいすかね!?

板垣 いいよいいよ。ビール持ってきてあげて(笑)
一同 (大笑)

ここで諸事情により対談が一時中断となりました


          では対談を再開させて頂きます。
張戸さんは普段お酒とか飲まれるんですか?
一同 (大笑)
張戸 周りからは強いと言われます(笑)
          みなさんでもよく飲み会をされたりとかするんですか?
張戸 最近はあまりしていないですね。仕事が一段落ついた時とかは打ち上げを盛大にやりますね。
板垣 というか毎週打ち上げだよね?(笑)

一同 (笑)
          職場全体で毎週楽しく打ち上げとかされるんですか?
板垣 いえ、全体というか、そういうのを好きな人は毎週打ち上げしてますね。
          楽しそうな職場ですね。
板垣 勤務時間過ぎたら職場でお酒飲んだっていいし。全然問題ないじゃない。
          職場でみなさんと飲まれることもあるんですか?
板垣 職場というか、飲み屋は無いけど、飲み屋に準ずるものが併設されてるんで(笑)
一同 (笑)
          なるほど(笑) そこでリラックスして仕事のストレスを発散したりとか?
板垣 そうそう。そこはレクリエーションルームといって、テレビゲームではないゲームがたくさん置いてあったりね。
          それは素晴らしいですね。
板垣 だってテレビゲーム見てテレビゲーム作ってもしょうがないじゃないですか。ゲームデザイナーは、色んな他の伝統的なゲームに触れて、その真髄をフィードバックしていくというのも大事な仕事だからさ。
          なるほど。
では、次の方の自己紹介をお願いします。
松本 松本登と申します。板垣さんとはまだ5年くらいですかね?

ゲームデザイナー 松本 登

代表作品:
・ NINJA GAIDEN 2 (Xbox 360 / 2008) アクションデザイナー
・ DEAD OR ALIVE Xtreme 2 (Xbox 360 / 2006) テストマネージャー
・ DEAD OR ALIVE 4 (Xbox 360 / 2005) アクションデザイナー
・ NINJA GAIDEN Black (Xbox / 2005) ゲームデザイナー
(以上全て テクモ株式会社 開発・販売)
経歴:
・ 株式会社 猿楽庁 取締役 副長官
・ テクモ株式会社

板垣 もっとだろう。
松本 もっとですか?
板垣 ちゃんと密度を係数に入れて(笑)
松本 そうですね、開発で実際に仕事で関わって5、6年くらいですかね。前の仕事からいくともう少し長くて10年くらいになりますけども、四角い卓を含めると・・・
板垣 (大笑)
松本 総時間でいくと8年くらいは卓を囲んでいるんじゃないですかね。
板垣 30年分くらいだろう(笑)
松本 まぁそれくらいの回数をこなしておりますね(笑)
          卓というのは何なんですか?
松本 卓ですか? ゲームデザイナーには必須ですよね。すごいクリエイト力・判断力・発想力、全てが凝縮されてる・・・あの、麻雀卓っていう・・・

一同 (笑)
松本 「緑の聖地」と呼ばれている・・・
一同 (大笑)
松本 そこに大事なものがあるんですよ。それを理解できた方がゲームデザイナーになれる・・・
江原 ええーっ!?(笑)
          むしろ、そこが外せないという要だったりとか・・・
松本 はい。僕はたぶん、それで採用されたと思います(笑)
板垣 あー、それは事実(笑)
一同 (笑)
          麻雀以外のお仕事で板垣さんとの関係についてはどうでしょうか?
松本 実務の方ですか?
          まぁ、松本さんに限っては麻雀の話でもいいです。
松本 あーそうですか(笑) 主に業務は脳の活性化というところです。常時、仕事の後に脳をよりフルに使う業務が・・・そこで僕の脳のスペックは最大値に達するんです。
          あ、すいません。それで実際のお仕事は?
一同 (大笑)
松本 実際のお仕事ですか? ああ、そうですね、実際の仕事は僕もゲームデザイナーでして、概ね ゲームのアクション部分を中心に、企画や仕様作成や色々な調整やチューニングというところをやらせて頂いています。
板垣 お前らの話を聞いてると、作っているゲームのジャンルがバレる(笑)
一同 (大笑)
松本 やばい!レベルデザインとかアクション周りとかって(笑)
張戸 いやいや、RPGかもしれませんよ(笑)
板垣 そうだよな!(笑) 俺、クリスタルクロニクル大好きだしな。みんな、ああいうゲーム作りたいよな?
一同 (笑)

柔らかい仕事

          板垣さんとのお仕事で何かエピソードや苦労話はありますか?
張戸 僕が新人だったころ、全然関係ないのに怒られたことはありますけどね。
          それはどういった・・・?
張戸 もう単純に板垣さんのフロアにいる同期のやつを飲みに誘いに行ったら、すごい忙しい時期でそれで怒られたっていうだけなんですけどね。
          空気を読めなかったということでしょうか?それだと「空気を読めない男」アピールで終わってしまいますが・・・
一同 (笑)
張戸 板垣さんは覚えてらっしゃらないと思うんですけど、まさか一緒に仕事をするとは思ってもいなかったんです。
          大変恐い存在だと思われていた板垣さん、実際に今お仕事されていていかがですか?
張戸 今は全然恐くないですね。むしろ頼もしい兄貴的な存在というか。
          板垣さんはこのゲームデザイナー陣とはどのように接されているのでしょうか?
板垣 やっぱり空気が大事ですよね(笑)
          空気ですか?
板垣 そう。前にプログラマーが大工さんだと言ったけど、ゲームデザイナーというのは設計図を作る人たちだから。すごい生ものなんですよ。
          生もの?
板垣 柔らかい仕事なんですよ。その柔らかいところから最終的にカッチリとした設計図に落としていくんだけど、その最初の柔らかさがないと、すぐどこかで見たようなゲームになっちゃう。
江原 ええ。最初に作る仕様書というのは、ほとんど最終的に製品になるまでそのままで行くことはないです。仕様書というのはあくまでたたき台。頭の中で考えたゲームを、頭の中でプレイしながら作るんですけど、実際それを組んでプレイしてみると「あそこは良くない」「ここはもう気持ちよくない」「そこは全然つじつま合ってない」とか出てくるんですよ。いくつか必ず。
          はい。
江原 それをどう料理していくかというのも僕らの仕事だし、そこがセンスの問われるところ。またそれもゲームデザインの面白いところ。
          そうなんですね。では、ゴールの再設定というか・・・
江原 ベクトルの再設定。
板垣 それを専門用語で「逆噴射」って言うんですよ。
一同 (大笑)
板垣 「やっぱり着陸するのやーめた」って言う(笑)
松本 まぁまぁ、よくある話です。
江原 仕様書をまるまるやめてしまう事もありますしね。
          そういう事もあるんですか!?
板垣 だからみんな仕事速いの。考え方としては「決まったコース料理」という感じではないよね。バイキングのように好きなものを好きなところから持ってきてね。
江原 大事なのは、フィーリングというかプレイ感の直感を大事にする事。プレイヤーがプレイしてどう感じるかっていう気持ちよさとか不快感を、自分たちの中でも感じる事なんですよ。それをどうアレンジするか、どう料理するかがすごい大事なところで面白いことなんですよ。
          最終的にゴールとして「これだ!」という時はどういう時なんですか?
江原 調整は最終日の直前までやってますよね?
板垣 やってるよ。
江原 もう本当に結構ギリギリまでやってるんですけれども、一個一個の項目に対して「あっ、これはいい!」と思ってカッチリ決まったつもりでも、色んな事が出来上がってくとやっぱりちょっとズレてたりして。最終的にギリギリまで調整をしていて「これだ!」ってのはなかなかマスターアップ直前にならないと決まってこない事もありますよね。
          そうなんですね。そのギリギリまではもう本当に身を削るような形でやってらっしゃると。
江原 ええ。身を削ってます。
          生み出されたものをお客様に喜んでもらうために?
江原 そうですね。自分たちが魂こめたゲームは自信を持って世に出したいと。だからギリギリまで妥協しない。

プロファイリング

板垣 さっきの「ゲームデザイナーとどう接しているか」という話の続きだけど、こういう生ものを調理している人たちだから、それはやっぱりコミュニケーションが大事だよね。これはプログラマーとの対談でも話したことだけど、僕は全員に全部違う言葉で話すじゃない。登(松本登さん)に話すとき、張戸に話すとき、江原に話すとき、全部違うよね?
江原 ええ。
板垣 ゲームデザイナーの時は、やっぱり僕もすごいソフトだよ。・・・あ、ごめん。言い方はハードだけどね(笑) だけどハートの置き所としてはソフトなところがないといいものはできない。だから空気と言ったんですよ。
          なるほど。
板垣 例えば、登に何か話さないといけない時に、「あ、ちょっとイライラしてるな」と思ったら話しかけるのをやめて、そこを通り過ぎてそのままトイレに行ってみるとか(笑)
一同 (大笑)
松本 場の空気を読むと(笑)
板垣 で、そこで僕の読みのセンスが問われるわけですよ。5分後の登がどうなってるかというのを自分の今までのプロファイリングで読むわけだから。
          そのトイレへの通過によって?
板垣 いや、時間の経過によってね。用を済ませて帰ってくるまでにどうかな、と。「もうたぶんイライラが収まっている」とか。そのイライラの原因まで推定しなければいけないですから。用を足しながら。
          板垣さんは大勢いるスタッフの一人一人にそういう・・・
板垣 そうですよ。
          そこまで見られているのは大変ではないですか?
板垣 いやいや、大変でもその方がいいものができるなら、自分をそういう風に最適化するだけですよ。ギャンブラーだし、そういうのが好きってのもある。
江原 あと、もう付き合い長いですからね。だいぶプロファイリングとか蓄積されてますし。
板垣 そうそう(笑)
          なるほど(笑)
板垣 で、用足して戻ってきたら、登がゲームで遊んでウキャウキャやってるから、それを見て「やっぱりな」と(笑)
一同 (大笑)
板垣 そこで仕事の話をそこから始めるわけですよ。「お、いいね、それ何やってるの?」って。すると「これですよ! このココが面白くて、だけどココがダメで・・・」と話が始まるでしょう。で、「おぉ、そうだな。ところでさ・・・」と。これですよ。
          何かとても楽しそうな職場環境で、みなさんお仕事をされている印象を受けますね。
張戸 人が近いと言うか、人数もコンパクトでちょっとしたファミリー的ないい環境なんじゃないですかね。
          家族的な?
張戸 ええ、マフィアのファミリーかもしれませんが(笑)
一同 (笑)

サイクルの速さ

          張戸さんから新しい職場についてのお話がありましたが、他のお二人はいかがですか?
江原 まず、仕事がしやすいですよね。ひとつは職場の物理的な環境という意味で仕事がしやすいです。例えば、机の間隔、人の密度、時間の使い方など、ゆったりとしていますから。もうひとつは人間関係で、みんな知れ合った仲間でもうツーカーですよね。
          なるほど。
江原 上から下までそんなに差がないんですよ。ほとんど上下関係がないような和気あいあいとした環境で。下から、こうした方がいい、ああした方がいいという話はいっぱい出てくるし、それを上の方も柔軟にくみ上げる。それでどんどんいいものができてくる環境が整っているのがすごくいいと思ってます。
          とても活性化された活発な職場ですね。
江原 すごくものが言いやすい職場なんじゃないかな。
松本 意見でも話を通しやすいですし。企画提案をしたり実際にものを作り始めると、すぐにみんなから色んな意見が上がってきます。それに対してすぐ協議して、すぐ提案、また改善というものを変えるサイクルが速いですよね。機動性が高いです。
          それはとても良いことですね。機動性が重要というのは「緑の聖地」にも通ずるところがあるんでしょうか?
松本 そうですね。すばやく判断してそして決断する。その気持ちは常にゲームデザイナー陣全員が持っていないとうまく回っていかないですからね。誰かがそこでわだかまりを持って溜めこむとものが動いていかないので瞬時瞬時の判断が必要です。・・・そのためにもやっぱりシミュレーションとして四角いリングが必要ですよ!
一同 (大笑)

求めるゲームデザイナー像

          ゲームデザイナーのみなさんが心がけている事も含めて、求めるゲームデザイナー像というものを教えていただけますか?
張戸 「One for All. All for One.」を持っている人。一人ではゲームはできないので、チームワークを大事にしながらも一人一人の個性を大事にしていける、そういう人がいいですね。
          普段からもそういった事は心がけてらっしゃるのでしょうか?
張戸 僕は昔ラグビーをやっていたんで、そういう気持ちがあるんですけど、うちのスタッフはみんなそういう気持ちがあるんじゃないかと思います。
          松本さんはいかがですか?
松本 そうですね。麻雀ができればたぶんできると思います。
一同 (大笑)
          それが意味するところは、先ほどからおっしゃられていた判断力の速さとかでしょうか?
松本 ゲームデザイナーと言えば、やはり発想力だったり、色々なものを知っていなければという部分もありますけれど、人柄のよさ、ものを考える力、判断する力があればやっていけると思うので、そこに優れている人ですね。
板垣 確かにそうだよね。麻雀ってどれが一番数学的に合理的なのかという面もあるけど、それだけじゃなく、「登だったらこのハメ手が有効」とか人を見るという訓練になるしな(笑)
一同 (笑)
板垣 判断力のスピードが大事というのは、僕らの商売は戦闘機乗りみたいなものだから。
          戦闘機乗りですか?
板垣 そうですよ。真っ直ぐ飛んだら、次の瞬間には撃ち落とされますからね。だから100%の確信はなくても「概ねこうであろう」という状況判断に基づいて常に戦闘機を機動させ続けないと。100%の確からしさが得られるまで真っ直ぐ飛ぶような、硬直した思考回路ではファイターパイロットは務まりませんからね。
          なるほど。
板垣 ゲームもそう。さっき江原が言っていたけど、僕らは答えのない仕事をやっていますからね。100の案件のうち90は答えがすぐに出ますよ。数学で。だけど最後の10はオリジナリティだったりする。あるいは江原なり僕の中のブラックボックス、自分ですら気付いていないブラックボックスだったりするわけだから、すべてに対して答えが出る訳ないんですよ。95%がせいぜい。 逆に言えばね、人間だってよく分からない部分がある人の方が面白いでしょ。ゲームだって同じこと。
          そういう事ですか。
板垣 だから、大事なのはやっぱり素直さだよね。「こっちの方が面白い」と思ったら、昨日まで自分が提案していたものと違っても「あぁ、こっちの方がいいじゃん」と感じられる素直さと感度。
          それを感じられるための感度という事ですね。
板垣 そう。あとそれを分析して、まず大まかな答えをすぐに出せるという事だよね。より詳細な答えが求められる場合は、それを詳細化してやっていく。当然そこにはスピードが必要なんです。
          なるほど。麻雀論がここまで重要な事だとは気付かずに大変失礼いたしました。
松本 やっと分かっていただけましたか。
一同 (笑)
          では、江原さんはいかがでしょうか?
江原 ゲームデザイナーは、アートやプログラマーなど各方面の人と話をしたり、交渉したりしなければいけないので、ひとつはコミュニケーション活発な人。ひいては明るい人、性格がいい人、そういうのは求めるところかな。あと、僕なんかの考え方で言うと、やっぱりゲームが好きな人。ゲームが好きじゃないと務まらないと言うか、好きならもっと楽しんでやれると言うことかな。
          ゲーム好きなら。
江原 そう。さらに言うと、ゲームだけじゃない人。何かしらの造詣が深くて、例えば、世界旅行をいっぱいしてるとか、映画いっぱい観てるとか、読書いっぱいしてるとか。ゲームだけじゃなくて人生経験豊かな人が好ましいかなと思います。
          板垣さんからもお願いします。
板垣 ここまで僕が話してきた話の行間の意味が読める人に来てもらいたいね。杓子定規な定義がないと、ものを理解できない人じゃダメだね。意味ではなく、文脈。一語一語の「Meaning」ではなく「Context」を読んで下さい。
          空気だったり、行間だったり、いくつか表現がありましたね。
板垣 そうそう。正攻法でもハメ手でもあらゆる攻め口を自分で考えられる人。要するに、競争することが好きな人。
          それはすなわちイコール・・・緑の聖地になるわけですか?
板垣 いやそれは「One of」だね。
          つまり、それこそ何でもいいわけですね。緑の聖地に限らず・・・
板垣 まぁ、でもそれは一番大事な「One of」だけどね(笑)
一同 (笑)
板垣 あとはバックギャモンだな。あれは数学に通じてないと絶対に勝てないんで。それから花札もいいよ。未来予測の訓練になる。
          なるほど。
板垣 来て欲しい人というのは別にギャンブルをやる人という事じゃないですよ。お金のかかってるかかってないとかいう事じゃないから。色々なゲームに通じてる人。開発者もゲーマーも、テレビゲームはもうみんな良く知ってますから。
          はい。
板垣 テレビゲームというエンターテイメントを通じて世界を感動させたいという情熱は、江原の言うとおり絶対に必要だよ。だけど、その人のブラックボックスがテレビゲームに根ざすものじゃ、しょうがないじゃないですか。それが旅行でも、あるいは異常にイタリアが好きとか、その人なりの一家言あることが絶対に重要。そういう人の方が一緒に酒飲んでいて楽しいじゃないですか。酒飲むときにゲームの話なんか・・・
          しないんですか?
板垣 ドラクエ9の話以外はしない(笑)
一同 (大笑)
板垣 やったよな、相当やったよなドラクエ。
松本 っていうか、やりすぎですよ!(笑)

フレキシブルな開発体制

板垣 大事な話として、プログラマーなんかはモジュールをわけて明確な区分の中で仕事をして行った方がやりやすいんだけど、それでもうちのプログラマーは助っ人としてサポートに入ったりみんな助け合ってやってくれている。けど、ゲームデザイナーというのはあまり区分が無いんです。
          区分が無い?
板垣 だから、いい意味で仕事の内容を取り替えたりよくするわけ。「これやっぱりお前がやった方が面白くなるじゃん」とか。
          それは担当を決めるよりもフレキシブルな方が良いということですか?
板垣 それはそうですよ。例えば「この企画だったら、じゃあお前企画やれよ」とか、全然違うセクションの人に企画やってもらったりとか。だからいわゆる「ゲームデザイナー」というのはこの場の人間だけじゃなく、他にもたくさんいる。うちはプログラマーも企画をしますし。
          みなさんのアイデアなり企画はどんどん取り入れるわけですね。
板垣 プログラマーだったら、「今の技術ならこういう事ができるから、何か面白い遊びにならないか」とか技術に基づいた意見を出すし、アニメーターなら「今のモーション技術ならこういうことができるから、こういう風にしよう」とか。そこら中でやってるんですよ。サウンドだってそう。
          そうなんですね。かなりフレキシブルな開発体制を敷いているという・・・
江原 最初に言ったけど、アイデアの出所がもうそこら中にあるんです。みんな意見を出しやすいし、その方面ならではのアイデアがポッと出てきたりして、それがすごく良かったりすると企画として持ち上げちゃうという。実際に設計図も作ってもらったりね。
          本当に大変魅力的な職場なんですね。それでは、これで対談を終わらせていただきます。ありがとうございました。
一同 ありがとうございました。



写真: (C)板垣プロダクション  撮影: Ryuga Shinno.