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スペシャル対談:松本零士先生 (前編)

2010.11.11

収録:2010年4月28日
日本を代表する漫画家であり、弊社代表取締役CTO板垣伴信が師と仰ぐ、松本零士先生がヴァルハラゲームスタジオにお越しになり、とても貴重なお話と激励のお言葉を頂きました。
松本零士先生プロフィール

 日本を代表する漫画家。福岡県出身。1938年生。
 宝塚大学教授、京都産業大学客員教授、デジタルハリウッド大学特任教授、日本漫画家協会常務理事、コンピュータソフトウェア著作権協会理事、かかみがはら航空宇宙科学博物館名誉館長、呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)名誉館長など、数々の重職を兼任。
 『男おいどん』で第3回講談社出版文化賞を、『銀河鉄道999』『戦場まんがシリーズ』で第23回小学館漫画賞を受賞。2001年には、日本文化の発展に寄与した功績により、紫綬褒章を受賞。また本年11月、旭日小綬章を受賞。その他、受章歴多数。

 代表作品:銀河鉄道999、宇宙戦艦ヤマト、宇宙海賊キャプテンハーロック、男おいどん、
わが青春のアルカディア、ガンフロンティアなど多数。

宇宙を旅した時計

松本 その時計、面白いのをしてますね。
板垣 はい。ブライトリングです。
松本 私は飛行機が大好きでね。
板垣 はい。存じ上げています。これはブライトリングがイタリア空軍と共同開発した物で、クロノマットというモデルです。
松本 そう。私のはね、セイコーのダイバーウォッチなんですけどね。この腕時計をして世界中に行きました。インド、アフリカ、アマゾン。南太平洋、それからナイル川、アマゾン川を全部泳いだ。それで最後は、宇宙飛行士の毛利衛さんがこれを持って飛んでくれたからね。宇宙を飛んで帰ってきた時計なんです。もう何十年も使ってるんですよ。
板垣 そうなんですか!
松本 頑丈この上のない時計です。熱海で間違えて、この時計をはめたまま温泉入っちゃってね。でも無事だった。
板垣 温泉に入っても無事とは凄いですね。
松本 すぐ水をジャンジャンかけてね。
板垣 そうしますよね。
松本 最初はションベンかけようかと思ったけど。
一同 (大笑)
松本 他のお客さんも大勢いるので悪いからね。慌てて水道の所に飛んで行った。徹底した防水だから、絶対に水は入らないけど、お湯となると、ちょっと具合悪いんだよ。
板垣 なるほど。
松本 もう一つがブライトリングの、ベゼルが回るやつです。計算尺が付いているやつですよ。それを使っています。
板垣 私のも一応...(腕時計のベゼルを回す音)
松本 回るやつだね。
板垣 回りますよね。
松本 それとオメガの宇宙時計です。これはデザインも頼まれました。
板垣 すごい!
松本 そうそう。野口聡一さんが持ってる『ムーントゥマーズ』。月から火星へというシリーズは、私がデザインしたんです。この前、山崎直子さんが持って行ってくれたのは裏蓋にメーテルの浮き彫りがあるメーテルモデルなんです。自分は宇宙に行けないけど、時計だけは宇宙に行ってるんです。
板垣 うーん。
松本 飛びたいよねぇ。
板垣 飛びたいですねぇ。

初めての出会い

          板垣さんは、以前にも松本先生とお会いしたことがあると伺いました。確か、声優さんの収録スタジオのトイレだったとか(笑)。
板垣 (笑)。そうなんですよ。ずいぶん前になりますが、あるゲームのセリフ収録でスタジオに行った時に、通路から控え室から、スタジオの壁一面にメーテルのポスターが貼ってありまして。普通はそこで気が付くんでしょうけど、若輩者だったものですから。事態に気付かず、そのままレコーディングに入りまして。
          そうだったんですか。
板垣 ええ。それで収録の合間にトイレに行きましたら、松本先生がいらっしゃったんです。横顔だったんですが「これは先生に間違いない!」と思った瞬間、尿意も全て止まってしまいました。
一同 (笑)
板垣 トイレの外でお待ちしていたところ、先生が出ていらっしゃったんで、ご挨拶して握手していただきました。「先生の大ファンです。先生の作品はぜんぶ見ています」とお伝えしたら、「そうですか、無駄なお金を使わせちゃったねえ」と優しくおっしゃられました(笑)。
          板垣さんはずっとテレビゲームを作られているんですよね。
松本 テレビゲームですね。
板垣 はい。18年間、作ってます。
松本 そうすると、若い時から、コンピュータやキーボードの操作には慣れてるわけ?
板垣 はい。父が東芝の技術者だったものですから。子供の頃から家にオフコンがありまして。ソードコンピュータとか...
松本 ええ、ありましたよね。
板垣 あの頃ですね。それ以来、コンピュータは使ってきました。今は兼松と一緒に、ヴァルハラという会社でゲームを作っています。
          対談前に「ヴァルハラ」というお名前を松本先生にお伝えしたところ、「これは『ユートピア』『まほろば』(※1)。そういう意味だね」とおっしゃられていましたね。
板垣 はい、そうです。神々が集って。
松本 「護りたもうと」ですよね。運命が護ってくれると。
板垣 はい。
※1   「まほろば」とは、「素晴らしい場所」「住みやすい場所」という意味の日本の古語。松本先生の『新宇宙戦艦ヤマト』にも架空の戦艦「まほろば」が登場する。

CGの進化

板垣 よろしかったら今までに私が作った、ゲームの映像をご覧頂けますか?
松本 はいはい。ちょっと見せてください。
板垣 ありがとうございます。
--(映像準備中)--
板垣 これは光と陰の忍者たちの物語です。表舞台に立つ忍者と、それを陰で支える武闘派の忍者。この二つの門派の忍者たちが、山を一つ隔ててそれぞれの村に住んでいるんです。
松本 うん。
板垣 で、光の一族の頭首の血脈は、ずっと女系で続いている。この頭首に二人の娘が生まれるんです。姉の方は光の世界でかわいがられて育てられる。しかし妹の方は血を継ぐための保険として、武闘派の村へ里子に出される。光の子が殺された時のバックアップと言う事です。この映像はその因果を描いたものです。
--(映像視聴中)--
松本 (映像冒頭の、荒波の上を低空飛行するシーンを先生が指差して)
これはCGだよね。
板垣 はい、そうです。雷撃シーンをイメージしました。
松本 うん。
--(視聴を終えて)--
松本 だんだん俳優がいらなくなっちゃうね。
一同 (笑)
松本 これはまだスベスベした肌にしてあるけど、シワを付けたり、そういうのを入れていくと、絵だか本物だか分からなくなるよね。
板垣 これが7年くらい前の技術ですね。
松本 これが7年前。
板垣 はい。
松本 すでに7年前にここまで出来てるわけだ。そりぁニュース映像が信頼できなくなるわけだよね。
板垣 (笑)
松本 何だってやれるもんね。
板垣 確かにそうですね。これは結構湿っぽいやつなんですけども、あえて日本の昔を描いてみました。
松本 これが7年前の技術なら、今の技術で更にリアルにして、時代物の映画作りたいね。これだったら、実在しないような美女だって出せるしね、つわものだって出せるじゃない。リアルにこうやって。背景だってセット組まなくていいんだもん。
          松本先生の時代物の映画、ぜひ観てみたいですね。
板垣 昔ですと、例えばデスマスクとか取って、人の顔を残したりするじゃないですか。
松本 うんうん。
板垣 今は、ある空間に入ると、あっという間に立体データが撮れちゃうんです。
松本 ああ、ぜんぶ撮れるね。データも自由にエンゲージさせられるでしょ。声もやれるしね。
板垣 そうですよ。当然、顔の表情のキャプチャもできちゃいます。
松本 瞬きから何から。こりゃ俳優さん一大危機だな。実は今、一つ映像を作っていて、そのテスト版で俳優さんの声をエンゲージしてみたんです。
板垣 はい。
松本 口パクに合わせて、私がセリフを棒読みするんです。するともう俳優さんの声になっちゃう。声紋分析機にかけても、その人がしゃべっているセリフになっちゃうんです。だから危機感もあるよね。プロテクターを付けないと危ない。言ってもいない事を言ったという事になりかねないから。
板垣 あぁそうか、そうですね。
松本 だんだん進んでいく。3Dは「立体」という意味になるけど、「3Dアニメーション」とだけ言うと、要するに主線(※2)の無いアニメーションですね。今、観たのが3Dアニメーションの極致ですよね。
※2   2Dアニメーションにおける主線とは、彩色する際の元になる黒い線画の事。

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