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ロック社長のこれを聴け!!:第七回 " Relics "(邦題:ピンクフロイドの道)

2012.03.30

『これを聴け!!』も7回目。ラッキー7の今回は、こいつも俺の人生を変えたバンド、熱狂的な思い入れがある点ではトップ5に入るPink Floydである。
あまりにもメジャー過ぎるバンドではあるが、いったい何だってあんな難解なバンドが、軽く2億枚以上のセールスを叩きだしているのか?
やっぱりみんな、現実の向こう側の世界とか哲学的なものに興味を抱いているからだろう。シュールレアリスティックな側面ってものがここにはあるのだ。
Pink Floydは、一般的にはプログレッシブロックと言われるジャンルのバンドだ。だからKing Crimson、EL&P、Yes、Genesisと合わせてプログレ5大バンドなどとよく呼ばれるわけだが、はたして・・・・・認知度、販売枚数から言ったら段違いのモンスターグループにほかならない。音楽的にもプログレという一語でくくるには、あまりにも多様性に富んだ音楽を創造してきた、そんなバンドだ。

ピンク・フロイドの道
ピンク・フロイド
EMIミュージック・ジャパン (2001-06-16)

時代によってもサウンドはどんどん変わってゆく。すなわち1967年デビュー時のシド・バレット時代、シド脱退後のロジャー・ウォータース時代、そして、ウォータース脱退後のデビッド・ギルモア時代に大きく分かれる。売れたのは何と言ってもウォータース時代だ。1973年発売の「狂気(The Dark Side of the Moon)」と1975年の「炎(Wish You Were Here)」、そして1979年の「ウォール(The Wall)」がとりわけ有名で、メガヒットを記録している。
ただしPink Floydというバンドは、初期の圧倒的カリスマ、マルチな天才によってバンドをリードしたシド・バレットの残した遺産が大き過ぎ、シドが抜けたその後も、彼の影響を受け続けたバンドである。デビューの翌年にシドはもう居なくなったと言うのに、だ。

先述の「狂気」はシド・バレットの内面世界を音楽で表したものだし、「炎(Wish You Were Here)」のタイトル曲も、そのものズバリ「あなた(=シド)がここにいて欲しい」だし、オープニングソングの「狂ったダイヤモンド(Shine On You Crazy Diamond)」も、歌っているのはシドの事だ。そして、ロックオペラ「ザ・ウォール」の主人公Pinkは、まさにシドの表側の人生と内面世界の人生そのものを音源化・映像化した作品である。
天賦ゆえに精神を破綻させたシドという存在、その呪縛下にあった事実が、Pink Floydの音楽世界に異様な心的深淵をもたらしたのだった。
(ザ・ウォールを映画化した「Pink Floyd The Wall」も実に素晴らしい。鬼才アラン・パーカー監督に、主演はアイルランドのパンク/ニューウェイブバンドThe Boomtown Ratsのボーカリストだったボブ・ゲルドフ。そして兎にも角にもジェラルド・スカーフのアニメーションが最高だ)

シドはPink Floyd以外にもDavid BowieやT.Rex、Mick Jagger、そして俺に最高の影響を与えた。

シドの音源はPink Floyd時代のアルバム1枚とシングル数枚、ソロ時代の実質2枚にしか残ってはいない。どれも繊細で、狂気に満ちていて、そして甘美である。
今回、本作を選んだ理由も、俺が大のシド・バレットファンであり、当時はシングルでしかリリースされなかった楽曲を数多く含んでいる初期のベスト盤だからだ。
小学生の頃、このアルバムのカラーレコード(レコード盤に色が付いたもの)を、毎晩夜中に一回は聴いていたほど大好きなアルバムだ。
曲で言うと、何をおいても「Julia Dream(邦題:夢に消えたジュリア)」が大のお気に入りで、小さい頃は念仏のようにこの曲のサビを念じていた。
「See Emily Play(当時の邦題:エミリーはプレイガール)」も素晴らしい。
デビュー曲の「Arnold Layne」や「Careful With That Axe, Eugene(ユージン、斧に気をつけろ)」のスタジオバージョン、そして「The Nile Song」、さらにはエンディングを飾る「Bike」(最後の蛙の合唱がお気に入り)と、まったくもって狂気で耽美で儚い、そんな情念の曲が詰まったアルバムである。

数多の名盤に彩られたPink Floydではあるが、分けてもシド・バレットの情念と狂気と愛に満ちたこのアルバム・・・・・『ピンクフロイドの道』
これを聴け!!